レバーは犬に与えてはいけないの?

犬の嗜好として匂いは動物性脂肪、味はアミノ酸を好むと言われています。
その両方を兼ね備えているレバーは犬にとって理想的な食べ物と言えるでしょう。

鹿レバースライス
鹿レバースライス

レバーを過剰摂取するということ

過剰摂取による症状

レバーは栄養価が高く嗜好性も高い為、非常に素晴らしい食品と言えます。
しかし、ビタミンAが豊富過ぎて逆に健康を害してしまうことがあるというのです。

過剰症

ビタミンAの過剰摂取では、緑黄色野菜に含まれているβカロテンと、動物のレバーなどに含まれるレチノールの、2つに分けて考える必要があります。

βカロテンの過剰摂取
ビタミンAの1つであるβカロテンは、消化吸収されるときにβカロテンから、ビタミンAに変化します。
βカロテンは、必要な分だけがビタミンAとして吸収され、余分な分は身体の外に、排出される仕組みになっています。
また、βカロテンの性質上、吸収率やビタミンAへの変換率が低いため、大量に食べた場合でも、過剰摂取になることはありません。
ビタミンAの1日の摂取量の上限は、3000μg(マイクログラム)REですが、たとえβカロテンを、この10倍以上摂取しても、身体に異常がでてくることは、ほとんどありません。
(手のひらや足の裏が、黄色くなる程度です。)
βカロテンは、レチノールに比べ、はるかに安全なビタミンAといえます。

レチノール
レチノールは、鶏レバー、豚レバー、あんこうの肝、うなぎの蒲焼きなどの、動物性食品に多く含まれているビタミンAです。
このレチノールは、身体への吸収率が高いのが特徴で、βカロテンのように、変換されることもありません。
ちなみに、厚生労働省から公表されている、レチノールの1日あたりの摂取量の上限は、3000μgREになっています。
吸収されたレチノールのほとんどは、肝臓に運ばれ貯えられます。このため、レチノールを多く含む動物性食品を、大量に食べるとそれに比例して身体に貯えられ、ビタミンAの過剰症が現れてきます。

具体的な過剰摂取の症状としては、
 ・主に後頭部の激しい痛み
 ・手足の痛み
 ・めまい、吐き気、嘔吐、下痢
 ・食欲不振、けんたい感、肌荒れ、睡眠障害
 ・脱毛
などがあります。
また、妊娠した女性が、レチノールを過剰摂取すると、生まれてくる赤ちゃんが奇形になる危険性が多く、注意が必要です。
(ただしβカロテンは、この危険性はほとんどありません。)
出典:ビタミン|栄養素116

犬の場合も過剰摂取による症状は人と同様です。

本当に与えてはいけない?

ここでちょっと考えて欲しいのです。
過剰摂取が危険なのはわかった。危険な食べ物だから与えるのをやめようではなく、じゃあ何g迄なら食べさせても良いの?ってこと。

栄養基準

さて、ここから計算
AAFCO(アフコ:米国飼料検査協会)によると、犬のビタミンAの栄養要求量は5,000IU。1IU≒0.300μgREなので5,000×0.3で一日に1,500μgREが必要と。
ビタミンA含有量の多い豚レバー100g当たりに含まれるビタミンAは13,000μgREですから、1日に10gも食べれば十分な量を摂取できる事になります。
ただし、上限値は250,000IU=75,000μgREなので560g位まで摂っても大丈夫だよという事になります。
レバーのおやつだと水分を10%以下に乾燥させているので180g程度は許容量という事になりますね。

と、ここで気付くはず。1日に500gもレバーを食べさせる事あります?

まとめ

人は上限値が低い為に過剰摂取による悪影響が出易く、人の過剰摂取症状から「犬もダメなのだろう」と推定されてしまい犬に食べさせたらダメなものとしてレバーが挙げられているのだと思います。
なんでもダメな理由があるはず。特にレバーのようにあっちではOK、あっちではNGとなっているものはどちらが正しいかを自分で調べてみるのも良いのではないでしょうか。

犬の大好きな”レバー”を栄養補給やとっておきのご褒美として与えない手はないですよー

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